Novel-Guilty 2
□眼を開けたら
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けほっと、カイの咳に寄る振動が舌を伝いソルにも伝わってくる。苦し気な呼吸を繰り返すカイの熱まで吸い取る様に、ソルは薬を飲み込ませた後も、何度も角度を変えながら唇を合わせた。
口内を這いずり回る舌に一々ぴくんっと反応を示してくれる蒼の瞳が、気分を高揚させる。
「………平気か?」
「薬……きらい…」
こんこんと、咳をしながらも律儀に会話してくれるカイ。辛いだろう。
崩れそうになる理性を必死に保ちながら、ソルはたまには真面目に看病してやろうと思った。
眼を開けたら、いつでも自分がいる様に。
一人が嫌だった。
一人が怖かった。
一人が寂しかった。
「ただいま」と言っても返事がしない家。
一人だけの食卓。
冷たいだけの寝室。
ぬくもりのない自分。
ぬくもりがほしかった。
眼を開けたら、誰かがそこにいてほしかった。
「……………」
眼を開けたら、ソルがそこにいた。暗闇の中、眠ってはいるが私の手も握ってくれている。
手のぬくもりは、この人のだったのか。