書庫5

□江戸城内誘拐事件
1ページ/12ページ

土方は困っていた。

銀時が酷い流感に引っかかったのである。風邪っぽいと言っていた内に早めに医者に行って来いと口を酸っぱくして言っていたにも関わらず、怪我三昧のくせに健康保険に入っていなかった銀時は診察台をケチッた結果、まんまと風邪に引っかかって現在万事屋で隔離中だ。土方家には幼い子供が六人もいるので、うつされてはたまらない。
さて、そこで困ったのが、誰がさやの面倒を見るかということであった。
現在巷では風邪もだが早いインフルエンザが大流行していて、屯所でも隊士が数人やられている。山崎もその中に含まれているから困ってしまう。桂と高杉は生憎外出していたし、坂本は宇宙だ。沖田に任せるのは危険だし、新八は銀時の世話をしてくれているらしい。いつもならあやしながら書類をやっている土方なのだが、今日は生憎と登城する予定があった。江戸城の警備計画を近衛遊撃隊と詰めることになっていたのだ。

「仕方ない、か」
「う?」

何が仕方ないのだろう、と不思議そうに見上げてくる末娘を抱き上げて、土方は軽く嘆息したのであった。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ