書庫5

□わんこと子供たちの日常
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斎藤が土方の妊娠を知ったのは、長期出張先の京都でであった。
近藤から隊士たちへの報告を聞くやいなや顔色を失ったかと思うと、そのまま新幹線に飛び乗って江戸に駆けつけたそのとき、土方の腹は五ヶ月で既に膨らみ始めており、何故自分ではないんですか、と思わずその腹ごとかぶりついて、うっかり泣いてしまったものだ。


 +++ わんこと子供たちの日常 +++



そんな斎藤ではあるが、子供も六人目ともなると大分慣れてうっかり泣いたりはしなくなった。
何より父親がアレでも、子供は別だ。可愛い。
何故だか子供たちは皆父親の方にばかり似て、土方にはあまり似なかったのだけれど(きっと奴らの遺伝子が図々しいのだと斎藤は信じている)奴らとは違って礼儀正しいし、愛らしいものだから、ついつい斎藤の京都から戻ってくる回数も増えようというものだ。有給はフル活用である。

「いらっしゃい、わんこちゃん」

にこにこと笑って今日斎藤を出迎えてくれたのは、今年五つになったきらであった。
今日は親の誰かが家に居るらしく、子供たちは私宅のほうで母親の帰宅待っていた。テロリストという実質無職が二人(半プーも一名)いるはずなのだけれど、何故だか彼らはそこそこに忙しいらしく、なおかつ母親も忙しい日々が続いているため子供たちは意外に私宅より屯所に預けられていることも多いのである。

土方は末娘であるさやを生んでから産休を終えたばかりで、つい先日職務復帰した。
そのお祝いに、と京都の隊士一同から土産を持って斎藤はやってきたのである。
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