書庫5

□あなたもわたしをすきすぎる
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土方と恋人になれたからといって、高杉の恋熱は収まったりはしなかった。
それどころかさらに加速して、今なら

「土方のためなら死ねる!!」

と叫びだしそうである。因みに死ねる、が殺せる、だったならもう一・二件はやっているはずだ。桂もそれが幕府官僚だったから何も言わないのだが…。

その高杉は、今筋トレにはまっているらしい。
何故今までさんざストーカーをしていて気がつかなかったのかは不思議なのだが、彼の愛して止まない恋人が、筋肉フェチ――――――つまり逞しい男の体に憧れているらしいということが、先日発覚したせいなのであった。

「ヅラァ、大胸筋ってどうやったら鍛えられると思う?」

そう真顔で聞かれた桂は、この男がどうなってしまうのか不安になったものだ。いや、土方に関しては、高杉はとっくの昔にどうかなってしまっているのだけれど。

「アイツがよォ、よりにもよって似蔵の筋肉を気に入っちまったみたいでよォ…。クク、まぁそれはそれで、あいつの近藤好きが筋肉のおかげだって分かったけどな」

変なところで上機嫌になる高杉だ。
それだけではなかろう、とは桂は言わないでおいてやった。高杉が近藤を暗殺してくれたらこちらもとても助かるのだが、その後土方がどうなってしまうか分からないし、それで結果跳ね返ってくる先は高杉なのである。
土方に嫌われたら本気で高杉は首をくくりかねない。

どうやら高杉は可愛い恋人に駄目出しをされた大胸筋を鍛えようとしているらしい。バーベルをとりあえず薦めながらも、そこだけやるとアイ◎ルの宣伝のようになるぞ、とアドバイスしておく心優しい桂である。ストーカーだろうとかつての戦友であることは変わりがない。銀時あたりは既に見放しているらしいし、坂本は最初から右から左、左から右に流しているらしいのだが。
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