書庫5

□あなたはわたしをすきすぎる2
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そんなこんなで、一巡目の茶がなくなり武市が新しい茶を淹れて戻ってきたころであった。
付けっぱなしにしていたテレビは昼のドラマの時間だというのにアナウンサーが切羽詰った声を出す。

『――――――ここで臨時ニュースです。××区にある異菩寺に、攘夷派を名乗る一派――――――天狗党が人質を取り立てこもっている模様です。犯人たちは最近その近辺で起こっていた婦女誘拐事件の犯人であるとみられ、武装警察真選組の即時解散を要求しています!!』

ひくん、と前半は聞く気も無かった高杉の肩が反応した。
いつものことである。ばっとブラウン管を振り返った高杉に、二人は顔を見合わせて少しずつ後ずさる。これから何が始まるかは分からないものの、ロクなことにならないだろうと判断したのであった。
しかし地を這うような不機嫌な声が武市の肩を掴み、包帯の白があざやかな高杉の後頭部へと振り返らせる。
高杉は完全にテレビの前に陣取ってしまっていた。三十センチくらいしかモニターと顔が離れていない。

「武市ィ、異菩寺ってなんだこいつらは」
「…いや、異菩寺じゃなくて天狗党ですよ。我々と同じ攘夷グループ中でも過激派ですな。最近仲間が大分捕縛されたと聞いていますが、婦女誘拐までやっていたとは」

そういいつつも、クローズアップで映し出された人質に武市の目は既に釘付けである。ストライクゾーンな少女たちばかりであった。

(いや、お通は少し年が過ぎているか…しかし縄はいただけませんね、縄は。女性はソフトに扱わなければ…むしろ撫でさするようにソフトに…)

「真選組を解散させろだとォ…」

武市のフェミ道には全く欠片ほども興味が無い高杉は不機嫌そうに唸り声を上げるものの、微妙そうに顔をゆがめるに留まる。
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