書庫5

□あなたは××をすきすぎる
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高杉は、実はそれなりに忙しい。
定職についているわけではないから忙しい時も不定期なのだが、一度テロをすると決めてからは非常に精力的に働いては些細な手間も惜しまない。それまでは女をとっかえひっかえ、飽きたら捨てるという状態だったので忙しくなったら足を遠ざければよかったのだが、土方という恋人(何故あれほどのストーカーをしておいて恋が成就できたのか全く似蔵にも分からないが)が出来てしまって以来、更に土方マニア度が進行してしまっている高杉は自分がいない間の土方が心配で心配で仕方が無いらしい。
何せ土方は、高杉曰く『美人で可愛くて健気で(以下略)俺の嫁になる以外にありえねェつか俺以外だったらそいつ殺す』らしいので、放っておいたらどういう虫が沸いてくるか分からないのだという。
それで、

「似蔵、俺が京に戻ってる間、お前住み込みで土方を守れ」

真顔で言われて、さすがに絶句してしまった似蔵である。
いくら恋人だといっても、相手は真選組の、天敵の副長ではないか。
しかも高杉の京都行きは最低で三日だ。
たった三日である。
高杉と再会する以前は土方は一人暮らしをしていたらしいのだから、今更たった三日くらい一人でも平気ではないか。
何もここで放り出したらもう二度と会えないような口ぶりで言わなくてもよさそうなものだが、高杉は至って真面目だった。
似蔵があきれ返っていると、高杉はだってよ、と拗ねたように呟いた。
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