書庫5

□あなたは××をすきすぎる
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実はそれほど、似蔵は土方を嫌いではない。
ある事件の前までは、確かに幕府の狗よと真選組を嘲り土方のことは高杉を惑わせる毒婦(?)と思っていたけれど、そこまで土方個人に対しては嫌悪している、とまで明確な感情はなかった。
土方の話を延々と高杉に聞かせられるのは辛いが、祭りとテロ以外の時で珍しく高杉(の持つ光が)がきらきらと輝く時間であるし、彼よりも度合いは劣るものの高杉のストーカーじみていた似蔵にとっては、高杉と話せる時間は至福のひと時であったのだ。

攘夷戦争中に出会っていたらしい(ちらと見ただけだったそうなので土方はそもそも高杉との出会いを覚えていないらしい。なんて失礼な奴だ)土方と再会して以来、高杉は大分変化した。
それまで滅多に危険な笑み以外は浮かべることも無く、ただただ衝動的に何かを壊さずにはいられない男であったのに、それがごく短時間で恋が叶ってからは更に加速して毎日眩しいほどきらきらしている。いっそ不気味だと周囲の人間は思っているらしいが、似蔵はそんな高杉がただただ眩しくて仕方が無かった。そのきらきらのおかげで周囲はとばっちりを受け続けて疲弊していく一方だったのだが、似蔵はその中で同じように色々とダメージを受け続けながらもおとなしく高杉の話を聞いて(話とは関係ないところで)うっとりしていたため、高杉もよく似蔵を(主にというかほとんど土方の話に)つき合わせるようになった。
だから、似蔵は、土方はそんなに良い思いを抱いていたわけではないが、嫌いでもなかったのだ。


高杉にその護衛を申し付けられるまでは。
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