書庫5

□あなたはわたしをすきすぎる
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真選組を見張れ、と高杉からの指令を万斉が受けたのは、新しい年が始まってから数日しか経っていない松の内のことであった。
何でも年始の特別警戒デーとかいうものがあるとかで、一日真選組が総出で街を回るのだという。
それで何故真選組の監視などを過激派攘夷グループの一派に属する自分がしなければいけないのだろうか。携帯電話の向こうで首を傾げる万斉に、高杉のイラついた声が聞こえた。

「…土方が危ねェだろうが」

僅かの間、万斉は絶句してしまった。

高杉によると、こうらしい。

いつもは真選組は二人一組で巡察をしているため、片方がいなくなればすぐに気がつくけれど、今回は大人数で、しかもお祭り騒ぎになるに決まっている。そのうちから一人が拉致されたとして、気がつくかどうかは分からない。大所帯になればなるほど、細部に目が届かなくなるものだ。

だから、土方が拉致されるかもしれない。

……なんだかその結論に至るまでにものすごい飛躍があると思うのは、気のせいであろうか。

今更高杉にそこに突っ込んでも無駄だということくらい万斉は知っているが、問いただしたくて仕方がなくなる時だってある。
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