書庫5

□さんがつみっか(家族系)
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子供が生まれてから、男たちは行事ごとに敏感になった、と土方と思う。

今までだってクリスマスや正月やらなにやらとイベントごとに一喜一憂して騒ぎ立てていた彼らだが、まさか今の時期までは大人しいままだった。それもそうだ、子供もいないのに、いい年した男たちは普通子供の行事などには気にしたりはしないだろう。
だがその子供が出来たからといって―――今度は一寸、気にしすぎているのではないだろうか、と長男をあやしながら、小さく土方は溜息をつく。

長女のるりが生まれてから、初めての春である。
るりは春生まれなものだから、今月の終わりで丁度一歳になる。よちよち歩きも大分さまになり、未だに何を言っているのかは分からないが口も大分回るようだ。次男のほたるはるりより大分おっとりしているのか、成長はゆっくりである。双子でも大分違うものだが、既に千歳で子育てにも大分慣れているものだから、その互いも余裕を持って受け止められる土方だ。
とはいえ、るりとほたるの双子を産んでから真撰組に復帰していた土方よりも、実のところ男親(というと、土方はまだ複雑な思いに駆られる)達のほうが子供に接している時間は長いので、慣れたというなら彼らのほうであろう。

さて、その日土方が帰宅すると―――何故だか出迎えた千歳は土方の顔を見た途端、ほっとしたような顔をした。

「どうかしたのか、千歳?」

とりもとりあえず、帰りがけに頼まれていた食材を冷蔵庫に入れると、土方は後をちょこちょことついてきた千歳を抱き上げる。土方の首に抱きついた千歳はむう、と顔をしかめた。

「ちちうえたちがこわい…」

父親に良く似たそのしかめ面に苦笑して、そのまま土方はこわいと言われた四人がいるだろう居間の襖を開いて―――絶句した。
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