書庫5

□(唐獅子)牡丹と薔薇 −鮮烈−
2ページ/32ページ

大体あんなに好き勝手やりたい放題でトシと結婚できたのか、未だに銀時には分からない。

最初だって直接二人から聞いたわけではないが、高杉が無理矢理コトに及んだのだということはその時期ぎすぎすしていた関係からなんとなく察しが着いた。傷物にされたから責任取れ、といわれたのだろうか。

(早い者勝ちなんだったらさっさと押し倒したのに。)

段々思考は物騒になっていって、今外に零れたら嵐どころかきっと血の雨が降るだろう。
煮詰まっていても、実行できないことは銀時自身が良く知っているのだけれど。

債権者からの強引な取立てを終えて、帰路についた今もう夜はとっぷり更けている。
高杉のやりかたは強引で乱暴で容赦なくさらに狡猾という、総括すれば魔王様な状態であるので、いざこざが絶える事は無い。敵も増える一方なのでボディーガードの銀時も大忙しだ。

高杉自身腕っ節は、結婚前には(時々今もあるらしい)トシの実家の刺客を撃退しているうちに元々凶暴だったのが今では更に凶悪になっているのだが、そけれでも銀時の手は必要なのだった。

銀時も界隈では名の通った男である。
高杉と並んで暴れまわっていた頃は白夜叉なんて呼ばれていた。
筋が良かったのか興味本位ではじめた剣道も相当使える。型なんてもの無視して実戦ばかりやっていたから段位は大したものではないが、多人数を相手にしても十分切り抜けられる力量があると自負している。
高杉がそこに加わったら鬼に金棒なんてものではない。いや、鬼は彼の細君の異名だったか。

(…いや、自信が有るっつーのは相手が人間の場合であって…!)


ふと交差点に差し掛かり、横を見た瞬間、反射的に木刀を掴んだ手が流石に震えた。

(…2tトラック相手にどうしろと…っ)
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ