書庫4

□In Paradism 闇夜百里
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「…なんでトシが、嫌がったのか本気でわからねぇ…。清河だぜ?しかも乱交させられてるんだぜ?それで…なんで一緒に来ないんだよ、クソっ…」
「ちっくと落ち着け、銀時。わしゃ清河じゃないきに」

苛苛と席を蹴り上げた銀時にやれやれと呟く坂本だ。
確かに銀時の言うとおり、相手が清河であるということは四人には納得しがたいことであった。
清河についてトシが好意を持っていたということは、本人からも周囲からも一切聞いたことは無い。それだというのに、何故トシは清河などに身請けをされたのだろうか。
トシが好いていたのは近藤だ。間違いは無い。それは渋々ながら、四人とも知っている。
トシが清河を好いていたというのは耳に入らなかっただけかもしれないが、しかしこちらは何度も体感したことであった。

「…トシを中心に考えるからいけないのではないか?」

少し考え込んだ後、桂がぽつんと律儀に真っ直ぐ前を見ながらも呟いた。

「どういうことじゃ、ヅラ?」
「ヅラではないと言っておろうに…まぁ、今は良い。つまり、トシ自身の好いた惚れただとか物で釣られただとか、そういうものではなくて…例えば楼とか、近藤のためなのではないか?」

自分で考えつつ、その思考が酷く悔しかったのか、運転が少し乱れたが誰も文句は言わなかった。
楼であったなら、自分たちが通っているのである。清河が例えば取り潰すとか言ってトシに迫ったなら、命の危険があるのだ。それは清河も分かっていただろう。だからこそ今まで何人もの高官にトシは贔屓にされていたけれど、無理矢理迫られたことは無かったのだ。

では――――――近藤のためなのか?

想像しただけでも腹の底が沸き立つような気がして四人は黙り込んだ。
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