書庫4
□In Paradism ゆめのあと
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ふとこの時間区切る決心をするつもりで視線を上げた先、大門に凭れるようにして、少し湿った空気に身を晒して、ひとがひとり立っていた。
まだ子供と言う年だ。
夜ではないから良いものの、いや朝だとしてもあまりこんな場所には寄り付きたく無いだろう。子供はさして良い格好ではなかったがこざっぱりとした格好で、護身用だろう。木刀を一振り持っていた。
なるほど、少年のおもては白く、茶色がかった柔らかそうな髪は細やかで愛らしい顔立ちをしている。木刀の一振りで持たなければ、こんなところには来られぬ風貌だ。たちまちかどわかされてしまう。
「総悟」
その子供を見るなり近藤は足を早めた。距離はなかったためさほど激しい運動ではなかったが、手を離すのを彼が忘れていたから久方ぶりに走った土方はつんのめった。
「あ、す、すみませんっ」
「…また敬語、戻ってる」
小さくそうして笑っているうちに、少年の方が気が付いて近藤に歩み寄ってくるのが視界の端にふらりと映った。
「近藤さん、無事童貞は捨てられましたかィ?」
なんて可愛い顔をして直接なことを聞くものだから、近藤は真っ赤になって狼狽する。
おや―――――と沖田は猫のような目をくるくると動かしてゆでたこのように成ってしまった兄貴分を見上げた。