書庫2

□初恋物語
1ページ/39ページ

ずっと一緒に居過ぎたから、感情の向く方向なんて知りたくなかった。
ずっと一緒に居過ぎたから、気が付いても黙っていたかった。
ずっと一緒に居過ぎたから、心地よい場所を壊すのが怖かった。


それでもやっぱり、好きで好きで仕方がなかった。




そんな、初めての恋のはなし。





+++ 初恋物語 1 +++

銀時と土方は幼馴染だ。

家が隣同士で、母親が同じくらいに妊娠して、同じ年に生まれた。
土方は五月、銀時は十月生まれだったものだから五ヶ月の差があるわけだが、オムツの取れないどころか生まれてからずっと一緒にいたようなものだ。
土方にはたった五ヶ月の差と、銀時のズボラな性格のためによく兄のような顔をされるのだが、同い年の幼馴染の、一番の仲良しだった。生まれてから小学校まではいつも一緒だった。土方が行くところは銀時はどこまでも付いて行ったし、銀時が行くところには土方も付いてきた。銀時は他に兄弟はいなかったし、土方は年の離れた兄弟はいたものの末っ子だったから本当の兄弟よりずっと二人は仲が良かったかもしれない。
小学校の高学年ともなると、少しマセたオコサマだった銀時は自分が土方に向けている感情がただの親友でも幼馴染でも兄弟でもないことに薄々気が付いていたけれど。
いつも一緒にいたものだから、土方が遊ぶ相手は銀時の遊ぶ相手だったが、この年頃の子どもの間のステータスは運動神経なものだからそこそこにスポーツが出来た二人は良くもてた。といってもこの年頃である。大したこともなく、ただ人気が有るという程度だったが、それでもやっかみというものはどんな年齢でも存在する。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ