書庫2
□病理
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このねつをにがさなければしんでしまう―――
何かに背中を押されるようにしてもたれかかった近藤の机は、未だその人の体温を残しているようで、土方は泣きたくなった。
何故自分はこんなことをしているのだろう。
+++病理+++
近藤のことが好きだ。
そう思っていた。
否、過去形ではない。今も好きだ。
けれどその好きの意味は変質してしまった。
形も色もこめられた感情も何もかも変質してしまった。
ゆるやかに、おだやかに。
熱病のようだったひとときの困惑が過ぎ去ればもてあましていたはずの熱は、驚くほど素直に遠ざかっていった。
だがあれが勘違いだったというわけでは決して無いのだ。
総ての感情には波がある。本物とそうなれなかったものの間には大きな差など無いのかもしれない。
近藤への感傷を交えた感情はゆるやかにその形を変えたけれど、内側から零れ出る熱量に死にそうだと思った過去が嘘だったというわけではない。
ただの過去と呼ぶには未だ苦しいほどの時間しか経っていないせいなのかもしれなかった。