書庫1

□七五三編
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隠れ家にこひじと共に帰ってきた高杉は、あまりの光景に思わず目を剥いた。

眩しい。

なんだか部屋中がキラキラしている。

やたらめったら、何なんだか分からないほどの大量のキラキラした布地の中央で高杉がこひじを迎えに出かける前にはむっつりしていたはずの桂は、打って変わって上機嫌で手を広げてこひじを手招いた。

布地の半数は反物で、後は既製品である。
どれも一様にサイズが小さめの子供物であった。桂は派手な着物を好むタイプではないから、余計に高杉は不審に思う。いつも女物かと見まがうような着流しで通している高杉とて、こんなやたらキラキラした生地は身につけない。
どこから大量のこの布地は沸いたのだろう。
今日だっていつものとおり、こひじを途中まで迎えに行く予定であったのだが何やら用事がうるらしい桂は涙を飲んで留守番をしていたのであった。ちゃんと帰ってくるのだし、わざわざ迎えに行かなくても一日くらいいいではないかと傍目には思われるのであるが、思い切り過保護なこの二親はこひじが二度目に眼前に現れて以来、心配性に拍車がかかってしまった。
以前はちゃんと一人で帰るとこひじも発奮していたのだたが、その初っ端から誘拐されてしまったりしたものだから桂の心配も尤もであるともいえる。二人の過保護度合いは今もぐんぐん上昇中だ。
ということで、今では結局途中から高杉や桂が迎えに出ているのだが、こじはそれが少し不満であるらしい。
ひとりでできるもん、と口に出しては言わないものの、少なくとも親二人の心配は子供の独立心にはあまり良い影響は与えていないらしいのであった。
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