書庫1

□おじちゃんと一緒編
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こひじが連れてこられたのは警察の庁舎、松平の執務室だった。セキュリティが厳しいので下っ端の山崎は残念ながら書類を提出に別行動である。

こひじが心配だったのか、何度も振りかえる部下に近藤は苦笑する。
随分懐かれたものだ。
普段あれだけボコボコにされていてもこりていないのだから、むしろこのくらいの懐きようは当然なのかもしれない。

++++++

直属の上司である松平は、他の幕僚たちとは様様な意味で変わった人物である。

とっつァんと呼ばれ、隊士たちからも慕われているし、人柄に関しては短気な面もあるが近藤は信頼している。この間撃たれかけたが。

真選組は所詮下部組織だ。警察の構成だけでは対抗しきれないテロリストを相手にするため、危険な状況を何度もくぐりぬけてはきたけれど、元々は荒くれ者たちの集団だ。
家柄なんてものとは無縁な人間ばかりが揃っている。

上とのコネが無いとどうにもならない組織の中にあって、いくら実力が有り治安に貢献していたとしても発言力は無いも同然である。
こんな状況になって、頼れる人間といえばいくらも居ない。

一応屯所を出る前に説明はしておいたものの、松平は信じきれないようであった。
幼児化した土方を見るのがはじめてだからかもしれない。
近藤に手を引かれたこひじは身長差のせいでほとんどぶら下がっているような状況だ。足がふらふらとしているのについつい微笑ましくなってしまって、松平は苦笑した。
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