書庫1

□また縮みました編
2ページ/7ページ

昨日、土方は書類を片付けるために屯所に泊った。

この頃土方は沖田や近藤が仕事を無闇に溜めたりしていなければ私宅の方へ戻るようにしているらしい。
以前は滅多に私宅へは帰らなかったというのに、今では一週間で屯所に泊る日の方が少ない。

元々土方は集団生活というものはに苦手だったし、静かな環境を好んでいたから不思議には思われていない。
隊士たちも監視役がいなくなって羽根を伸ばしているものの、やはりしっくりはきていないようだ。口では鬼だとか言うけれど、土方は組内でおおっぴらではないがかなり慕われている。本人は全く気がついていないのだから、彼の注意の方向性を疑ってしまう山崎だ。
情勢洞察だとかキナくさいことには必要以上に目鼻がきくというのに。

久々のお勤めに緊張する体を引きずりつつ、山崎は目的の部屋の障子の前に立った。
土方の執務室兼私室だ。
報告の関係で一日に一度は山崎はここを訪れている。

障子の桟に手をかけつつ、山崎は深呼吸をした。
ヒットアンドアウェイしか生き残る手段はない。土方は低血圧だから追って来たとしても馬乗りになって殴るころには大分体力が落ちている。士道不覚悟と言われようと、そうでなければダメージを軽減することは出来ない。山崎の仕事は土方の目覚ましだけではないのだ。

力を入れすぎて指先が青白くなっている。大きく息を吐いて、山崎スパン、と勢いよく障子を開いた。

毎日この瞬間が一番寿命が縮む気がする!
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ