書庫1

□また縮みました編
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三月も半ばを過ぎたというのに、気温は一向に上昇する気配もない。

つい昨日は今季最後の雪とやらが振っていた。
お天気お姉さんはこれが終わると一気に春の足音が近づいてくるでしょうなんていっていたけれど、天気予報というものはえてして外れるものだ。
けれど霜も降りなくなった庭を見ていると、冬が終わっていくのが目に見えて感じられる。

梅がもう終わりがけに近づいているから、あっという間に桜が咲くだろう。
そうしたらまた自分は花見の場所とりに走るのだ。

確かな未来図を描きながら、いまだ冷たい廊下を山崎は晴れやかとはいえぬ面持ちで歩いている。

朝のお勤めである。

最後はじゃんけんも視線での押し付け合いもなくなってしまった。完全に自分の仕事の一部になってしまっていて、近藤にさえ頼むといわれる始末だ。既に真選組の朝は自分の絶叫と決まっているらしい。
正直泣けてくるが、美味しくないというわけではないから複雑な心境だ。
寝起きの土方の、無防備に肌蹴られた浴衣の袷とか。凶暴性もひとしおで朝からズタボロにされる体がいつまでもつか心配だったが。
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