書庫5

□あなたは××をすきすぎる
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「だって心配だろォが。あんな美人で可愛くて(以下延々と十五分は続いたので略)なんだぜ?一日でも放っておいたらどんな銀色の虫だとかカタブツの虫だとか、サドな虫だとか毛玉の虫が沸いてくるか分からねェだろうが!!」

サドの虫以外は以前の高杉の戦友のはずなのだが、そのあたりも土方のことにかけては容赦なく敵認定しているらしい高杉である。もしや最近浮き彫りになってきた桂派との溝はそのせいではないだろうかとついつい想像してしまう似蔵なのであった。

高杉が今日に出かけた日は、丁度土方が非番の日であった。
というよりも、たまたま非番だったのはその日一日だったはずなのだが高杉が心配して自分が居ない間は何があってもおかしくないと、溜りに溜っていた有給を取らせたらしい。
従っている土方も土方だ、と似蔵は思う。
これで高杉が戻ってくるのは三日後の夕方として、最低二日以上は似蔵は土方とずっと顔をつきあわせることになってしまった。出勤してくれていれば、監視護衛をするのは朝と夕方だけで済んだはずなのだが。
さすがに真選組で働いている間も目を離すなとは言われまいと思っていた似蔵であったが、彼のまさかしないでいいだろうと思っていた苦労は、後に万斉が体験するのである。

冬の寒い朝方、高杉は何度も振り返り振り返りして出かけていった。
土方は土方で、朝がめっきり弱いらしくも時々ふらつきながらも律儀に高杉が角を曲がって見えなくなるまでちゃんと玄関先で似蔵と並んで見送っていた。
そのほっそりした体がふらつく気配がする度に、高杉がダッシュで戻ってこないだろうかと似蔵は心配になったものである。
こうして実質二日間の、似蔵と土方の共同生活は始まったのであった。
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