機動の書庫 二号舎

□盲目=盲目
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刹那の目が、ある日見えなくなってしまった。
エクシアから降りた時に、足を滑らせて落ち落ちたそうだ。
その時に、頭を打ったらしく…打ち所が悪かったんだ。
それで…。

「刹那、大丈夫?」
「アレルヤ…大丈夫だ、問題ない」

刹那は、普段から人を頼らない。
何時もそう、痛いのに我慢して。
今だって、不安で仕方ないのに我慢してるんだ。

「どこに行きたいの?」
「あ…ティエリアの部屋に…」
「そう、連れて行ってあげるよ」
「でも」
「僕の事は気にしないで。それより、刹那の方が大変なんだから…」
「すまない…」

僕は、刹那をティエリアの部屋まで送り届けた後、ラウンジに行った。
何故か、イライラする。
別に、ハレルヤが出てきてる訳でもない。
僕は僕のままだ。
なのに、イライラする。
さっきの、ティエリアの反応を見てから。

『はい…あぁ、アレルヤ…と、刹那?!』
『頼んでいた物を取りに来た』
『取りに来たって…と言っても、今の君には見れないだろう?』
『ロックオンに聞かせてもらう』
『…僕がその役を受け買おう』
『え…?』
『ロックオンに任せていたら、いつ読み終るか解らない』

ティエリアが、ロックオンにヤキモチを焼いた。
だから、引き止めるためにああやって言ったんだ。
…確かに、ロックオンに呼んでもらったら、何時終わるのか解らないよね…ι

「はぁ…ハレルヤ、気分が悪いよ…」
(テメェがあそこで引くからだろ)
「でも、刹那もティエリアの説明の方が良いだろうって…」
(それでお前がイラついてんじゃ意味ねぇだろ)
「そうなのかな…」

自分でも、この気持ちの意味がわからない。

「おぉい、アレルヤぁ〜」
「ロックオン?」

不意の声掛け。
振り向いていたのはロックオンだった。

「刹那が探してたぞ?」
「…刹那が?」

一瞬、胸が痛くなった。

それと同時に、何故か嬉しい気持ちになった。

「何でも、アレルヤじゃないと頼めないことなんだと」
「???」
「とりあえず行ってやってくれや」
「解りました」

そう言って、ラウンジを後にする。
何だろう、この高揚感…。
ハレルヤは、この気持ちが判ってるみたいで、ニヤニヤしてる。

「教えてよ…ハレルヤ」
(嫌だね!これはお前が自分で気付かなきゃ意味がねぇんだよ!!)
「あっ!ちょっと、ハレルヤってば!!」

…言い逃げたな。
もう、なにがなんだか判らない。
イライラした感じはまだ残ってる。
でも、嬉しいような感じもしてる。
…判らない。

コンコン

刹那の部屋の前に着いて、ノック。

「はい…」
「刹那?用があるって聞いたんだけど…」
「アレルヤか…入ってくれ」

刹那の声を聞いたら、余計にイライラが…一体どうしたものか…。

「お邪魔するよ」
「…?」

刹那が、きょとんとしてる。
何かあったのかな?

「…アレルヤ、何かあったのか?」
「え?」
「なんか、イライラしてる…」
何で判ったんだろう…?
「うんん、何もないけど…」
「いや、あった。イラついてる…何があった?」

…刹那に心配されちゃったよ…。

「俺に言えないなら、せめてティエリアかロックオンに話せ。あの二人なら、
ちゃんと相談にのってくれる」

ズキン…

刹那の口から、二人の名前が出ただけで、胸が痛くなる。
…そうか、判った。
これが何て言う物なのか。
ハレルヤ、ようやく判ったよ…。

これは

『嫉妬』

だよね…?

「…刹那、さっき、ティエリアの所に行ったのはどうして?」
「?ティエリアにAEUの捜査資料を簡単にまとめて貰う様頼んでいたんだ」
「ロックオンが僕を呼びに来たのは?」
「さっきハロをとりに来たから、頼んだだけだが…」

二人には、甘えてる。

でも、僕には甘えてはくれないの…?

「っ?!」

気が付いたら、刹那を押し倒していた。


 
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