Novel
□陽のあたる場所2
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「あ〜!いけないですわ!すっかり忘れてましたわ!」
梁山泊の台所で長老の孫娘美羽が慌てていた。
たまたま近くを通りかかった秋雨は台所をひょいと覗いたて声をかけた。
「どうしたんだい?美羽」
「秋雨さん。わたくし、醤油をきらしてたの忘れてましたの。兼一さんはアパチャイさんと一緒に別のお買い物を頼んで出掛けてますし…」
「では私が買ってこよう」
「いえ、秋雨さんにそんな…」
「いやいや、私も調度仕入れなくてはいけないものがあるしね」
「そうですか?ではお願いします」
今日は修業も休みで暇だっし接骨院で使う薬も少なくなっていたので出掛けようと思っていた所だったのだ。
部屋に戻って支度をし廊下にでると縁側にしぐれが座っていた。
「出掛けるの…か?」
「ああ、ちょっと買い物にね」
秋雨は少し考えてとしぐれに言った。
「よかったら一緒に付き合ってくれるかい?」
しぐれはこくっとうなずくとすっとたちあがった。
(めずらしいな。)
普段は買い物なんて行かないしぐれがどういう風のふきまわしかと秋雨はフッと微笑した。
すぐにしぐれも支度をすませ二人で出掛けて行った。