☆
□Thanks a lot
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いつもありがとう。
言えそうで言えない一言を、それに託して。
-Thanks a lot-
「はい、プレゼント」
そう言って持っていた包みを手渡した時の、火村の顔といったらなかった。
「何だよ、このえらくファンシーな包みは…」
彼の口から「ファンシー」なんて恐ろしく似合わない単語が出てくるなんてあまりに新鮮である意味感動だ。
可笑しくて、堪えきれず吹き出した。
「厳しいのと採点辛いのとで有名な火村センセも、そんなん持ってたら形無しやな」
私の言葉に彼はお前が持たせたんだろう、と顔をしかめた。
「こんなの、他に言い様があるかよ」
火村が手にしたそれは白いレースのような模様が入ったピンク色の袋で、ご丁寧にリボンまで掛けてある。
確かにファンシー、もしくは少女趣味としか言い様のないシロモノだった。