present
□如月様より
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苦しそうに、息も絶え絶えにやっとのことで日本がか細い声を出す。
「うん。そうみたいだね」
対するロシアは終始余裕の表情を浮かべている。というか、微笑ってさえいる。
日本は、この戦争のために、国の財力ほとんどを費やし、使える兵はできるだけ戦場に向かわせた。つまり、もう後がないのだ。
ロシアは傷だらけになってもなお、自分に向かってこようとする日本を見て穏やかに笑った。
・・君は、そんなになってでも僕にむかってこようとするんだね。
ロシアが一歩、また一歩と日本にゆっくりと近づいていく。
そんなロシアを目を逸らすことなく睨み続ける日本。
やがて、ロシアと日本の距離がゼロになった時、
日本は一瞬、何が起こっているのか理解できなかった。
ロシアの顔が、目の前にある。
――冷たい。
反射的に、そう、思った。
その2秒後、自分がキスされていたのだと気づいた時には、もうロシアは離れ、哀しそうに日本を見下ろしていた。
「もうちょっとだけ、君と遊んでいたかったんだけど・・・残念だな。」
そう言ってロシアはまた微笑う。
「君はもう続けられないだろうし、僕の家でも少し面倒くさいことになってきてるからね。」
「今回は、僕の負けってことでいいよ。
また、ね」
そう言ってロシアは背を向け、去っていく。
「ロシア、さ・・!!」
「・・なに?」
「い、いえ・・・なんでも、ありません」
思わず、呼んでしまった。なぜなのだろう。
だって、あの人の背中がとても寂しくて
呼び留めなければそのまま
消えてしまいそうだったから