他BL

□窒息願望
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※それとなく“そういう行為”を示唆する表現があるので、苦手な方は注意して下さい。


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目を覚ますと世界は暗闇だった。
外が白んでいる気配もないから、まだ夜に分類され続けてる時間らしい。
寝ぼけ眼が闇に慣れてくると目の前に僕以外の人が居た。
規則正しい寝息を立てているその人物は、親友であり恋人のミナキくんである。
ミナキくんは生まれたままの姿で僕を抱きしめる様に眠っていた。
まぁ生まれたままの姿なのは僕も同じなんだけど。

「久しぶりだったなぁ……」

数時間前の行為を思い出すと、反射的に体が熱くなる。
修験者としてはどうかと自分でも思うけれど、ミナキくんとの行為は好きな方だ。
滅多に会えない分の隙間を埋める様なあの感覚が好き。
それと同時に『滅多に会えない』って事を痛感するから、少し嫌い。
本当は今すぐにでも君に「ここにいて」って我儘を言いたいんだ。
もしくは「ここから連れ出して」って願望を口にしたいんだ。
でもそれは我儘であって、願望であって、現実にしたらいけないと言う事は分かってる。
分かってる、つもり。

「分かってる、つもり」

言い聞かす様に口に出してみたけれど、胸の心臓辺りが痛んだ。
抱きしめ返す様にミナキくんの体に腕を回す。
力を込めてみるとミナキくんの肺から空気が押し出されて、一緒に苦しそうな声が漏れた。
そしてうっすらと瞼を持ちあげて僕と目を合わせる。

「どうしたマツバ?」

まだまだ眠そうな声色だけど、それでも僕を気遣う様に優しく頭を撫でてくれる。


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