他BL

□窒息願望
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「……何でもないさ、ちょっと寒かっただけ」
「本当か?」
「本当だよ」
「……なら良いのだが」

言葉では納得したみたいだけど、全く納得していない表情がぼんやりと僕の視界に映る。
でもきっとミナキくんは理由を聞いて来ない。
僕もあえて理由を話したりはしない。
二人共その理由には気付いていて、そしてその理由を口にしてはいけないと知っているから。
その理由を口にしてしまえば、確実にどちらかの人生を狂わせてしまうから。
僕の夢かミナキくんの夢のどちらかを傷つけてしまうから。
だから、言わない。

「マツバ」

ミナキくんが僕の名前を呼んで、そして額にキスを落とす。
触れた箇所が一瞬だけ熱を持った。
そのキスはこめかみ・瞼・頬と、僕の顔を辿る様に下へ降りてくる。
そして。

「大好きだぜ」

と言って微笑んで、僕の口を塞いだ。
僕もミナキくんの頭を抱え込む様にしてその先を強請る。
舌を絡め合いながら、僕はまた普段会えない分の隙間を埋める。
けれどやっぱり思ってしまうんだ。
このまま一生離れる事無く、ただただ互いの息を貪って、そして窒息してしまえたらどんなに良いか。
もちろんそんな事が出来る訳も無く、僕の唇とミナキくんの唇は離れていく。

「……どうした?」
「だから、何でも無いってば」

それよりももっと先の事をしてよ、と僕からミナキくんの頬にキスをする。
例えば外が白んできてもまだミナキくんを帰したくなかったから。

「ねぇミナキくん、僕も大好きだよ」

そして今度は僕から唇を塞いだ。


=END=

→あとがき


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