他BL

□クリスマスツリーを切り倒せ
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シンオウのクリスマスは大体ホワイトクリスマスになる。
それに負けじとイルミネーションも派手になって、あちらこちらが色とりどり配色で光り輝くようになる。
もちろんそれはナギサシティも同様で、その装飾を見に家族連れやカップルが訪れたりもする訳だ。
俺もこういう派手なノリは好きだし、大抵の奴は楽しいと思う。
その大抵に含まれない奴を、俺は一人知っているけれど。

「たかがイルミネーションにハシャぎやがって……」

俺の隣でデンジが忌々しげに呟いた。
テーブルに広げているクリスマスケーキのカタログには目も向けず、窓から見える街一番のクリスマスツリーを睨みつけている。
別にデンジはクリスマスに恨みを抱いている訳でも、イルミネーションに殺意を抱いている訳でもない。
ただこの期間中は停電を避ける為にリーグ本部直々に改造禁止令が出されているので、ストレスが溜まっているんだろう。
ちなみにこのケーキはクリスマス当日に俺とデンジが食べる予定の物だ。
男二人でクリスマスと言うともの凄く寂しい響きだが、結局の所楽しければ良いんじゃないかと俺は思う。
どう見てもデンジは楽しそうじゃねぇけど。

「お前、顔が不快感に満ちてるぞ……」
「こういう気分の時にそういう顔しないでいつするんだよ」

そう言ってデンジは立ち上がり、窓際に立った。
そしてとても分かりやすく舌打ちをする。

「切り倒してやろうか本当に……」
「止めろ、マジ止めろ。 子供泣くぞ」
「泣くのは子供じゃねーだろ」

デンジが窓の外を指差すので、俺も窓辺へ立って外を眺めてみる。
なるほど、カップルと家族の割合が8:2って所だった。
そのカップルの10割が楽しげにイチャついている。


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