立海

□スキル:おくびょう
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「なーんてな! また騙されよったの柳生! 冗談じゃよ冗談、全部じょーだん!」
「………はぁ……」
「お前さんも懲りん男じゃのー。 そんなクソ真面目じゃとその内本当に詐欺られるぜよ」

気をつけんしゃいと言って、俺は舌を出してみせた。
大して中身も入っていない鞄を引っ掴んで、またポカンとし始めた柳生を部室に残して、俺は帰路につく事にした。
もとい、逃げ出した。

「……また誤摩化してもた……」

校門を潜る寸前で本当に小さく呟く。
これで何度目だったろう。 柳生に告白して逃げ出したのは。
冗談だなんて、それこそ冗談だ。
俺は柳生が好きだ。 大好き。 愛してる。
この想いを溜め込んでるのは辛いから言ってみるけど、その答えを聞くのも辛いから茶化して逃げ出す。
次こそは、と思っても柳生が口を開くとついつい逃げ道に入り込んでしまう。
怖いんじゃよ柳生。 お前さんに嫌われるのが何よりも恐ろしい。
それ位にお前が好き。

「こんな臆病もんが詐欺師だなんて、笑わせてくれる」

自分の心を突き刺す様に嘲笑って、足下にあった小石を蹴り飛ばした。
次告白するのは何時にしよう。
その時はどうか逃げ出しません様に。


=END……?=


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