他BL

□勝負は既に始まっている
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「ギーマさん、これどうぞ!」

もう既に挑んで来た回数を数えるのも面倒な位に見慣れた彼女が差し出したのは紙袋だった。
訝しみながらも受け取り中身を確認してみると、冷凍食品やインスタント食品が限界まで詰め込まれていた。
容赦無い詰め込み具合に紙袋が悲鳴をあげている。

「何だいこれは」
「何って食料ですよ。 ギーマさん、ちゃんとした物食べてないって聞いたので大人買いしてきました」

果たしてその話はどこの誰から聞いたのだろう。
シキミくんか、カトレア嬢か、はたまたレンブの奴か。
あぁもしかしたらチャンピオンという可能性もあるにはあるかもしれないかな。
彼女とワタシの共通の知り合いといったら、どうしてもその辺りになってしまう。

「ちゃんとした物を食べてないというのは少々語弊があるね」
「残飯とか漁ってそうな響きですもんね」
「ワタシが言いたいのはそういう事ではないのだけども……」
「えっ、じゃあ野草ですか!? ワイルドですね!」

もちろんそういう事でもない。
彼女の思考回路は一体どこに接続されているのかと思う位に予想外な答えを導きだす。
斬新な切り口は嫌いではないけれど、流石にそれはどうかと思う訳だ。

「なら何を食べてるんですか?」
「そうだな……基本的にサプリメントが多いかな」
「サプリメント!? それで腹の虫は鳴き止むんですか!?」
「食事なんて栄養を摂る為の行動だろう? なら必要な栄養分を摂取出来ればそれで構わないじゃないか」

さらに言うのなら、ワタシは食が細い方なのでその程度でも充分だった。
時折四天王揃って食事をする時もあるが、前菜程度の物を口にしてワインを傾けている事の方が多い。
いくら『不健康』だと揶揄されてもそれがワタシの食生活なのだから仕方が無い。
むしろ彼女が差し入れて来た物の方が不健康だと考えるのだが。


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