他BL

□ねじれ恋文
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コトリ、と毛利元就は筆を硯の上に置いた。
一息吐いてから机上の書状を読み返し、特に目立った誤字脱字が無い事を確認してから部下を呼びつける。
別に確認せずとも誤字脱字などという失態を犯す筈が無いのだが、大事な書状を送る時はそうする事が昔からの癖になっていた。
何故だかはもう覚えていないが、多分父か兄の教えだろう。
そんな郷愁に浸っていると、呼びつけた部下の一人が「失礼します」と声をかけてきた。

「お呼びでしょうか、元就様」
「これを四国の長曾我部に送り届けよ」
「了解致しました」

書と小さめの葛篭を部下に託し、礼を言うことも無く無表情で送り出す。
そして毛利は間髪いれずに再び机に向き直り、来る次の戦に用いる策を練り始めた。



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