他BL

□ねじれ恋文
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「てめぇ毛利!! どういう了見だコラァ!!」
「何の話だ長曾我部」

それから数日後、瀬戸海のど真ん中。
互いの軍船の船首にて毛利と長曾我部は顔を突き合わせていた。
怒り狂った様子の長曾我部に対し、毛利は特に動じる事も無く涼やかに言葉を返す。

「しらばっくれんじゃねぇ!! てめぇが送りつけてきた書状の事だよ!」
「あぁアレの事か。 何か不備でも生じておったか?」
「生じまくりだ馬鹿野郎!」

長曾我部は手にしていた書状を海面に向かって思い切り投げつけた。
宙に舞う中で紐が解け、広がった書状は勢いを無くしてヒラヒラと風に煽られる。
そしてその煽られている面積が、恐ろしく縦に長い。
最先端が海面に着水しても尚、最後尾はまだ宙に有った。

「内容は大体俺に対する罵倒な上に、長ぇしくどいしうざったいし、同じ内容を延々書き連ねんのも精神的にクんだよ!!!」
「ほう、あれを全て読み終えたのか。 脳筋の貴様でもその位の知能は持ち合わせているようだな」
「ご丁寧にそれも書状に書いてあったなこの野郎」

既に海水で滲んでしまった書状を指差して、苛立ちを孕んだ声で長曾我部が言う。
すぐさま毛利の船に突撃をかまして来ない分、ある程度は理性が残っているらしい。
もしくは逆にそんな領域は既に突破しているのか。
そのどちらなのか毛利には判別出来なかったし、そのどちらでも別に構わなかった。


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