他校

□He is mine
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今日はめんどくさい委員会の集まりが有るから、部活は遅れます。
流石にそれは素直過ぎるだろうなぁ、なんて思いつつ生徒会室を目指す。
テニス部長と生徒会長を兼ねる跡部は、大抵昼休みは自分のクラスよりも生徒会室に居る。
誰よりも上に居たがる跡部らしい兼役だと思うが、個人的にはお断りしたい兼役だった。
部活前に疲労でぶっ倒れるっつーの。
そう言えば、『テメェのスタミナが足りねぇだけだろ』と言われるのは目に見えていた。

「おーい跡部ー!入るぜー!」

返事も待たずにドアを開けたら、予想通り跡部は居た。
お前は大企業の社長かとツッコミたくなるようなデスクで、生徒会の仕事を片付けている。
そして、その真横にある跡部専用の(趣味の悪い)ソファーにも人の姿が見える。
またジローが昼寝してるのかと思ったが、それにしてはデカかった。

「おい、返事もしてねぇのに勝手に入ってきたかと思えば無言かよ。まさか、俺様を冷やかしに来たんじゃねーだろうなぁ」
「ち、違ぇよ。今日委員会の集まりが有るから部活遅れるって言いに来たんだよ!」

結局『めんどくさい』を抜いた伝言は、普通に跡部に受理された。
もしかしたら委員会の事も知ってて、俺が言いに来るのも予想してたんだろうか。
もしそうなら、ちょっと無駄足だ。
クソクソ、と心の中で呟いていたら、ソファーで昼寝中の“誰か”が寝返りをうった。
鬱陶しそうに顔にかかる青みがかった髪を手で払っている。

「……まだ何かあんのか?」
「いや……なんで侑士がここで寝てんの?」

寝返りをうった事で見えやすくなったその顔は、同じレギュラーでダブルスを組む事も多い侑士だった。
トレードマークの伊達眼鏡は、顔面にはなく無造作に床に転がっている。
危ねぇな、と素直に感じた。


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