他BL

□あの空へ〜Side H
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蒼が眩しい。
ヒョーゴは天を仰ぎながら、ふとそんな事を思った。



ここの所ヒョーゴは空を見上げる事が多くなった。
正確には、高い所を好む友人を探す為に自然とそうせざるを得なくなった。
空が、嫌でも目に飛び込んできた。


その友人は空を求める様に、高い所に立ち続けた。
一度屋敷のてっぺんに立っていたのを見た時は、正直焦った。
その時にこっぴどく叱って以来、友人は適度に高い所を選ぶようになった。
それは屋根の上だったり、時には天窓に腰掛けたり。
ヒョーゴとしては気が気で無いのだが、それを止める権利は無かった。


その友人は、純血にして完全な“侍”だった。
侍であるが故に、その体は戦場を求めてしまう。
そして彼等にとって、戦場とは『空』だった。
しかし、その『空』も今はただ穏やかにヒョーゴ達を上から見下ろすモノでしかない。
もはや侍の居場所は『あの空』には無い。
否、もうどこにも無かった。


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