他BL

□黄昏時のサボタージュ
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コイツは何時だって突発的な思いつきで行動を起こす。
頭で考えるという事をしない。
ただ『なんとなく今したいと思ったから』と言う至極単純な理由を原動力としている。
今日だってそうだ。

「凌統、海行こうぜ」

そんな思いつきの一言を理由に、甘寧は愛車であるバイクを走らせている。
……まぁ、当然のように二人乗りな訳で。
進行方向から吹き付ける風は冷たいが、丁度良い気持ち良さも与えてくれる。

「おい、甘寧さんよ」
「あん?何だよ」
「あんたどこの海まで行く気?」
「そう遠くねぇよ。海岸線まで出るだけだ」

この地域は海沿いでは有るが、中心区においてはそんな事を微塵も感じさせない。
ただ無機質にビルや電柱が立ち並ぶだけだ。
そんな町並みを横目に、多分海岸線へ向けて進んでいく。

「ちょっとばかしスピード上げるからしっかり掴まってろよ」
「はいはい。頼むから速度制限には気をつけてくれよな」
「分ぁってるよ」

俺の皮肉に答えながら、甘寧はスピードを上げる。
僅かに風が強くなった事を体で感じながら、俺は目の前の肩を掴んだ。
痛ぇな、という苦笑を孕んだ声が、速度に置いて行かれる様に流されていった。


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