他BL

□白と黒の告白
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「甘寧、勝負だ」

凌統はとても楽しそうに笑みを浮かべた。
いつもの皮肉めいた笑みでは無く、純粋な笑顔。

「……勘弁してくれよ……」

甘寧はとてもうんざりした表情を顔に貼り付けていた。





夷陵での戦いを終え、孫呉には一時の平穏が訪れていた。
すぐにまた戦は起きる。
それまでの僅かな時間を各々自由に過ごしていた。

「あー、待った」
「またかよ。あんた何回目?」
「仕方ねーだろ。俺は碁は苦手なんだからよ」

この二人も例外ではなく、甘寧の自室で碁に興じていた。
とは言っても楽しんでるのは凌統だけであり、甘寧にしてみれば苦痛に近い娯楽だった。
現に、碁盤の上は凌統の白石が大半を占めている。
傍目八目でもこの状況から甘寧の逆転を予想するのはかなりの難易度だろう。

「大体何で碁なんだよ……他の勝負だったら全然受けて立ったのによぉ」
「あんた病み上がりだろ」
「病んでねーよ」
「怪我も病気の一種だっての」
「そうなのか?」
「……いや、詳しい事は知らねーけど……」

何だよと苦笑する甘寧の体には幾重にも包帯が巻かれている。
先の戦で負った傷がまだ完全ではないらしい。
一応凌統としては気を使ったつもりだった。
なんせ、一度は死んだと思った位の大怪我だったのだから。
むしろ生きている事の方が信じられないくらいの。


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