他BL
□白と黒の告白
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「そんな事より早く打てよ」
「え、あぁ、うーん……もうここで良いか」
パチリと甘寧の黒石が碁盤に打たれる。
しかし凌統は、間髪を容れずに次の一手を打った。
その行動に甘寧は舌打ちを一つ。
「お前、性格悪いよな」
「良く言われるよ。ほらあんたの番だ」
さぁと言わんばかりに手を広げ、甘寧の次の一手を促す。
少しばかり考えているような間を置いて、本日十数回目の台詞が飛び出した。
「ま、」
「どうせ『待った』って言うんだろ?」
ニヤニヤと意地の悪い笑みを浮かべながら、台詞を先取りした凌統。
それを見た甘寧は、やっぱりお前性格悪いなどと呟きながら頭を抱えた。
「ゆっくり考えて良いぜ。俺は『優しい』からな」
「くっそ……」
明らかに甘寧を見下している凌統は、手の中で碁石を弄びながら足を組んだ。
実は凌統自身、碁はあまり強い方では無い。
中の下くらいの腕前だ。
しかし頭脳戦が苦手中の苦手な甘寧が相手とくれば、余裕だって生まれてくる。
その余裕がいずれ油断にならないと良いですね、なんて陸遜は言っていたが。