他BL

□幻想の中で逢いましょう
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僕は今、夢を見ている。
なんでそう言えるのかというと、

『よぅ、アレルヤ』

ハレルヤが僕の目の前に立っているからだ。
『もう一人の僕』であるはずのハレルヤが、僕の目の前に立てるはずがない。
なにより、彼はもう、僕の中には居ない。
だから、これは夢なんだ。
弄繰り回された脳が作り出した、儚い幻想の中の偽者。

「ハレルヤ、会えて嬉しいよ」
『偽者でも、か?』
「うん。君の姿が見れただけでも嬉しいんだ」

そうかよ、と言うハレルヤは4年前の僕の姿を模していた。
4年前のあの日に消えてしまったから、そこで時間が止まっているんだろう。
ここでようやく、ハレルヤと会うのが4年ぶりなのだと言う事を認識した。

『良く言うぜ。この4年間あの女の事ばかりウダウダ悩んでたくせに』
「そりゃあ……マリーの事は大事だし」
『俺は大事じゃねーのかよ』
「大事だよ。でもね、そもそもマリーとハレルヤを比べるのが間違ってるんだ」

マリーの事は好きだ。
愛してると言っても良いけど、それはまた少しニュアンスが違う気がする。
ただ傍に居てくれるだけで幸せになれる。そんな感じ。
でも、ハレルヤは違う。

『あーん?やっぱり俺の事大事じゃねーんだろ』
「ち、違うってば」

好きとか嫌いとか恋だとか愛だとか。
そんなありふれた単語では、この感情を表現する事は出来ない。
ハレルヤは僕で、僕はハレルヤで。
でも僕は僕で、ハレルヤはハレルヤで。
一人で二人。二人で一人。
傍に居るが当たり前すぎる存在だった。


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