他BL

□World−End(less)
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窓越しに見える風景は4年前と何も変わらない。
僕(達)が必死に生き抜いてきた戦場も、広い世界にしてみればちっぽけなものだった。

「イタタ……」

ペリペリと小さな音をたてながら、右目を覆っていたガーゼを剥がす。
鏡を見れば、久しぶりに見える琥珀色の瞳。
ただ残ってしまった傷跡があの時の戦いを思い出させた。
そっとその傷跡に指を這わす。

「……ハレルヤ……久しぶりだね」

そう言っても返事は返ってこない。
4年前までこの瞳は彼のモノだったはずなのに。
今ではすっかり僕のモノとなってしまった。
銀灰色の瞳と琥珀色の瞳が映すのは、僕の顔だけ。

「世界は変わったよ、少しだけ」

TVではユニオン・人革連・AEUの三勢力が統合したというトップニュースが報じられている。
ソレスタルビーイングの望んだ結末通り。
でも、それだけだ。
今も世界中で民族戦争は続いているし、テロリストは休日を知らない。
例え軍隊が纏まっても、人が居る限り戦争は止まない。
人々は憎しみあう。
それは分かっていたハズなのに。

「僕達の進んだ道は正解だったのかな」

僕はハレルヤを失ってからソレスタルビーイングを抜けた。
マリーの事も気がかりだったけど、僕は彼女と戦えない。
ハレルヤが言った通り『死ぬだけだ』と思ったから。
僕は生きていかなければならない。
約束したから。もう一人の僕と。
卑怯な判断だとは思ったけれど。

「刹那やティエリア達はどうしてるかな。もしかしたらロックオンも生きてるかな」

だから、僕は彼らのその後を知らない。
まだガンダムに乗ってどこかで戦っているのか。
それとも、僕のようにひっそりと暮らしているのか。
思えば互いに何も知らないチームメイトだったように思う。
それでも、大切な仲間だった。
そんな仲間の事すらもう分からない。



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