庭球夢

□現実逃避5分前
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三時間目、いかがお過ごしですか?
普通なら学生らしく授業を受けている所ですが、私は違う。
保健室に足を運んでいる最中。
具合が悪いのかって?いいえ、ケフィアです。
……間違えた。バック転出来そうな位元気です。
いや、出来ないけれど。

「数学なんてこの学年まで来たら社会で使わないっつーの」

そんな本音を隠して、具合が悪いと言う建前を使用してみた。
ようするにサボリ。
詩的に言えば、授業からのエスケープ。
あれ。そんなに詩的でも無い。

「待ってろ、保健室の白いシーツ……」

もう私の頭は休む事しか考えていない。
多少なりサボる事への罪悪感はあるけど。
けれど、授業に出たからと言って優等生とは限らないわけで。
まともに授業に出ていなくても頭が良いヤツは居る。(マサの事だ)
まともに授業に出ていて成績が良くても難のある奴も居る。(これはヒロ)
そして、まともに授業に出ていても普通なヤツも居る。(これが私)

「失礼しまーす」

保健室の真っ白い引き戸に手をかける。
ガラガラと扉が開……かない。
何度か力を込めてみても、開かない。
一瞬蹴り破ろうかと思ったけれど、後が怖いので止めた。
一瞬ピッキングしようかとも思ったけれど、以下同文。
今日は保険医常駐日だったはずなので、元々開いていない事は無いはずだ。
例えそうだったとしても、保健室が締め切られている事なんてレアだ。
となると、先客が鍵を閉めて寛いでいるという結論に達する。

「たっく誰だ、そんな非常識な事してる野郎は」

仕方ないので、職員室から鍵を拝借してきた。
病人のふりをしたら楽勝だった。
この手は良くサボる時に使う手だったので、演技には定評がある。
誰にと聞かれれば、主に幸村にと答えようか。
以前絶賛された。見破られたけど。


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