立海
□一夏の神様
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「じゃっ」
ひらひらと無造作に左手を振りながら、青学の一年ボウズは作業場の方へと去って行く。
訳が分からず呆然としていた俺だったが、理解していくにつれ口端が上がっていく。
本当に、本当に生意気なーー。
「スミマセン仁王くん!真田くんと切原くんに捕まってしまいまして……」
くつくつと笑っていたら、柳生が慌てた様に走ってくるのが見えた。
水が零れるんじゃないかと思ったが、その心配はいらんかった。
しっかり計算しとったらしい。
「はいどうぞ」
「あんがと柳生」
「……その帽子はどうされたんです?」
大きさが合わず、被ってるというよりも乗っているだけのキャップを見て、柳生が不思議そうな表情を浮かべた。
「これか?これはの……」
そこで言葉を区切る。
一口水を含み、喉を潤した。
そして。
「生意気な神様からの贈り物じゃよ」
「何ですかそれは」
易々真相は教えてやらん。
俺を待たせた罰じゃ。
俺は困惑する柳生を尻目に、水を飲み干した。
=END=
→あとがき