立海
□仮面を外して
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柳生は先程の呆然とした顔など、微塵も感じさせないような表情でフッと笑う。
頬に添えた手を少しずらし、指で唇を撫でる。
そして。
「俺は雅治のそういう所が好きなんだよなぁ」
一瞬だけ取られた仮面。
一瞬だけ存在した素顔。
「なっ……あっ……おまっ」
「フフッ、何て顔してるんですか」
既にいつもに戻った柳生がクスクスと笑う。
それに対し仁王は、顔を赤くしながら口をパクパクと動かすだけだった。
「ほら、帰りますよ」
頬に添えていた手を離し、握っていた手を引く。
満足げな柳生の背を見つめながら、仁王がポツリ。
「……不意打ちは卑怯じゃ、エセ紳士」
その呟きは夕風に流されていった。
「何か言いましたか?」
「べーつーにー」
=END=
→あとがき