立海

□誕生奏歌 ver.HY
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場所を移して、三人は紅茶等の茶葉を売っている店に来ていた。

「ねぇジャッカル先輩」
「何だよ」
「プレゼントって趣味に合わせた方が良いんじゃないんスか?」

柳生の趣味は読書だという事を切原は知っていた。
主に洋物ミステリーを好むという事も。
一度見せてもらったが一秒でギプアップした経験もある。

「普通はな。でも被ったら気まずいだろ」
「被るって?」
「例えば、お前がもう持ってるゲーム貰っても困るだろ」
「あぁ」

そんな雑談を交わしていると、別の所で商品を選んでいた丸井がやってきた。

「なぁなぁコレよくね?」
「紅茶のセットか……値段も手頃だし良いんじゃねーか?」
「ジャッカル先輩には手頃じゃなさそうッスね」
「いや、俺そこまで貧乏じゃねーから!」

ジャッカルの切実なツッコミを軽くスルーしながら、切原が一言。

「柳生先輩って紅茶好きでしたっけ?」

何気ない一言でしかなかったハズのそれが、丸井とジャッカルを戸惑わせた。

「どうだったっけ……ジャッカル覚えてるか?」
「いや……。というか、アイツ昼食時に何飲んでたっけ?」

いつもの昼食時を思い出す三人。
しかし。

「……ダメだ……仁王とイチャついてる図しか思い出せない…」
「だよなぁ……」
「俺も無理ッス…」

普段のインパクトが強すぎた。
というか、なるべく直視したく無かったのだろう。
手元の飲み物なんて眼中に入るハズも無かった。

「もし柳生先輩がコーヒー派だったらどうします?」
「それでコーヒー選んで紅茶派だったらどうすんだよ」
「何かコエーよぉ……」

柳生は紳士にあらず。
それはレギュラーの間では常識。
そんな柳生がキレたりすれば、命すら危うい。

「誕生日プレゼントにキレるかフツー……」
「幸村はキレたろ」
「あぁ……真田が新品のラケットプレゼントしただけなのにな……」

理不尽。それがルールY。
不条理。それがルールY。

「あっならさ、赤也が紅茶でジャッカルがコーヒーあげればよくね?」
「どっちか生贄かよ」
「下手したらどっちも殺られますよ」
「つーか、ブン太。お前はどうすんだよ」
「俺は何か別のモンを用意する!!」
「あっ!ズルイ!セコイ!」

切原がそう言った瞬間には、丸井はもう駆け出していた。
その後を切原は追う。
そして。

「お前が選んだ物も気に入られるかは分からないぞブン太……」

ジャッカルがポツリと呟いて、やはりその後を追った。


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