立海

□だって掟だし
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全国大会を控えた、ある夏の立海テニス部。
関東大会で一年生に負けた真田は、それを悔い改めるために部員から制裁を受けていた。

「ジャッカル!何だ今のは」
(そんな事言っても、俺に真田が殴れる訳ねーだろ!!)

一番手で、何故か制裁を与える側なのに叱られるジャッカル。
しかし、それもまたジャッカルらしかった。


「もっと強くこんかぁ!!」
「なら行くぜよ」


バッキィ!!


「「!!!?」」


真田の言い分に従い、仁王は思い切り殴った。
助走をつけて、なおかつグーで。
その顔は無表情に見えて、楽しそうな雰囲気を醸し出していた。


「……(えっ?今、拳だったな?別にそこまでの制裁は求めていないぞ?)そうだ」

真田は一抹の不安を抱えながらも、自分への制裁を続行させる。

「次、柳生!」
「真田くん…宜しいのですね?」
「あぁ、全力で来い」


全力で、とは言うものの。
真田は心の奥で『柳生は紳士だから大丈夫だろう』という確信があった。
やはり、先ほどの仁王ナックル(※技名)が効いたのであろう。

「では……遠慮なく」

不吉な言葉が耳に入ったが、真田はスルーしようとした。
しかし、柳生の構えがどことなく見覚えが有る。

「アデュー!!」


スパァン!!


景気のいい音がコートに鳴り響く。
いつも真田が繰り出している裏拳だが、柳生のは少し違った。
それに気がついた丸井が声を漏らす。

「あ、アレはまさか…」

「出たか…柳生の『裏拳レーザービーム』」

そう。
モーション後の柳生は、例のポーズで止まっていた。
ちなみに、真田は打たれた頬を抑えて俯いている。
肩が震えているのは怒っているのか、泣いているのか。


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