立海

□だって掟だし
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「ごっほげほ…」
「最後は赤也じゃの」
「えー、無理っすよ!俺が真田副部長殴るなんて…」
(赤也……)

わき腹と鳩尾を押さえて苦しみながらも真田は歓喜した。
いつも自分が殴っていて、絶対反発心を持っているであろう切原の言葉に。
嬉しいぞ赤也。俺の躾は間違っていなかったんだな、と父親気分になってしまうほどに。

「あ…かやっ!」

そして、そんな息子(違)を見上げると。

「ほーんと無理っすよ。副部長をボコボコにするなんて……」

赤目の悪魔が居た。
真田は逃げ出した。
しかし、逃げ切れなかった。

「俺の痛み、思い知って下さい副部長――!!」

憎しみと恨みと怒りが篭った拳は、みごと真田の顔面にHITした。
鼻の辺りから嫌な音が聞こえた気がしたが、皆はスルーを決め込んだ。

「あースッキリしたッス☆」
「お前語尾に☆は無いだろぃ」
「その位すがすがしい気分なんスよ」
「それに、真田が付けるより何億倍もマシじゃしな」

ハハハッ、と笑い声がコートに響く。
真田も鼻から血を流しながら、よろよろと歩き始める。
行き先はもちろん保健室だ。
フェンスに手をかけた時、まるで鬼のような人物が目の前に居た。

「やぁ真田。部活中だというのにどこへ行くんだい?」
「ゆ、ゆゆゆ、幸村!?」

そこに立っていたのは、手術後の療養中で家に居るはずの幸村だった。

「幸村君、出歩いて大丈夫なのですか?」
「あぁ。たまには外の空気も吸わないとね」

ニコリと柳生に笑みを向け、その刹那真田に凶悪な顔を向ける。
その変化の速さは誰にも真似できないであろう。

「で、真田…俺からの制裁がまだだろう?」
「!?な、何故知っている!?」
「仁王が教えてくれた」

そう言って携帯のメール画面を見せる幸村。
呆然としている真田の背後で、仁王がニヤリと笑っていた。
もちろん、真田はそれを知るはずがない。


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