よろずお題部屋

□涙の理由
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放課後。魅ぃちゃんが部活に使う道具を出した途端、圭一君の顔が青くなった。

「今日はさ、このエアガンで色んな的を狙うよ!」

「へ、へえ!楽しそうじゃん!」

「ふふっ、圭ちゃん、テンション上げても人は撃っちゃダメだよ?」

「!……っ!!」

魅ぃちゃんが言った瞬間、圭一君が教室を飛び出した。
魅ぃちゃんと沙都子ちゃんが驚いている中、梨花ちゃんだけは魅ぃちゃんを怖い顔で睨んでいた。





「う……うぅ……まさ、か……知ってるのか……?」

学校の裏手に圭一君はいた。いつもの明るい圭一君からは想像できない程、弱々しく、泣きながら。

「どうしたの?」

「っっ!!れ、レナか……何でもねえよ。」

嘘だ。何でもないのにこんな風になるワケない。

「強がらなくていいよ。泣いてるくらいで圭一君のことを見損なったりなんてしないから、ね?」

まだ涙が止まらず、鼻をすする圭一君に優しく囁く。

「うっ……ご、ゴメン……」







「……落ち着いた?」

「ああ……ゴメン。」

目頭が赤くなっているけど、落ち着いたみたい。

「何かあったの…?普通じゃなかったよ…?」

圭一君は大切な人だ。去年悟史君がいなくなってからずっと沈んでいた私達を変えてくれた恩人。力になりたい。

「……怖いんだ……」

「え?」

圭一君の顔は、すごく辛そうだった。目尻には、またうっすら涙が見える。

「レナは、俺の過去を知ってるか…?」

「え?……知らないよ?」

そういえば、圭一君が引っ越してくる前のことは訊いたことがない。

「俺の、昔のことを話すよ……最後まで、聞いて欲しい」

「……うん、わかったよ。」


圭一君は辛そうに、けれど覚悟を決めたように話し始めた。

都会での生活、勉強に縛り付けられたことへのストレス、孤独感、……そして、傷害事件……

取り乱した理由が、知らない内に過去を暴かれたと思う恐怖からだったこと……


「最低だろ?……自業自得であんなことして、それから逃げて……それでも仲間が離れることが何より怖い……どこまでも最低な人間だ……」

自嘲する圭一君が、ひどく、哀しくて。




抱いてあげる。

「もういいよ。圭一君は、今までずっと苦しんできたんだもの。だから……



これから、もっと笑お?」

「レナ………ありがとう……」

圭一君の言葉が、胸に響いた


〜fin〜
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