よろずお題部屋
□哀しき愛の詩
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会いたくて 愛しくて
触れたくて 苦しくて
届かない 伝わらない
叶わない 遠すぎて
ごめんなさい、ごめんなさいっ
今の私には、もう謝ることしかできない
赦されることなどありえないとわかっていても…
私は悟史君が好きだった
でも彼は間もなく行方不明になってしまった
もう、会えなくなってしまったのが、たまらなく苦しかった
私の想いが、二度とあの人に届かないのが、伝えられなくなったのが、とてつもなく悲しかった
だから、私は壊した
悟史君を苦しめ続けていたモノ、全てを
それが悟史君のためだと、本気で…信じていた
でも、そんなの全部、笑えないほどに間違っていた
お姉は……確かに悟史君を救えなかったけど、本当に気に病んでいた
あの時、お姉の流した涙は本物だった
……お姉、信じなくて、信じてあげられなくて、ごめんなさい
梨花ちゃま……きっと、あなたがいなかったら、沙都子は元気を取り戻すことは出来なかった
あなたが支えてくれたから、沙都子は前を向くことが出来た
本当に、ごめんなさい
沙都子……あなたは、強かった
鬼となった私に、最後まで屈しなかった
私は悟史君が生きている可能性も信じず穢れていったのに、あなたはずっと信じ抜いた。私なんかよりもずっと、ずっとひどく傷付いたはずなのに、今度は悟史君の足を引っ張らないように強さを求めて、私が憎んでいたあの頃とは見違えるほど成長していた……
なのに、私はあなたの頑張りにも気付かないで…
最初から最後まで、ひどいことしか私はあなたにしなかったね……
ごめんなさい
あんなに非道い殺し方で殺してしまって、本当にごめんなさい
圭ちゃん……あなたは悟史君の失踪に、本当に何も関係なかったのに、私の自分勝手な怒りと殺意の矛先にしちゃって、ごめんなさい
あなたが雛見沢に来てから、お姉や沙都子は、今まで以上に元気になったんです
初めは、あなたに皆が悟史君の面影を重ねていただけだと思ってた
でも、それ以上にあなたは皆が惹きつけられる何かを持っていた
人を……圭ちゃんにとっても大事な人を何人も殺した『詩音』でさえもあなたは救おうと……自分の身も顧みずに
……もし圭ちゃんが1年前、私や悟史君に出逢っていたら、
私はどうなっていたのかな……
悟史君が好きな気持ちは、今だって変わってない
でも悟史君のためだと思ってたことは、何一つとして意味はなかった
これだけのことをして残ったものは、引き裂かれるような後悔と、罪悪感……そして、悲しみだけ……
私には生きる価値どころか、産まれてくる価値すらなかったのだろう
私は、この世から消えた方がよかったのだろう
だから、最期に詠わせて……
大好きな彼と、傷付けてしまった皆への
―『本当の気持ち』を―
fin