ひぐらし小説
□貴方という存在
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暗闇を駆け抜ける勇気を
くれたのは貴方でした
「頼む!誰か明日からの土日の間飯を恵んでくれ!いや、恵んでください!」
俺は今、恥を忍んで土下座をしている。というのも、お袋が週末に買い物をする予定だったのが急遽、親父の仕事の手伝いで家を出ることになったのだ………その話が決まったのは今朝俺が家を出る直前。すぐに出発しなきゃいけないらしく、買い物も作り置きも無理だったみたいだ。ついでにいうとカップ麺の買い置きも残ってない。さらにいうと「外食はダメよ」と大した小遣いもない。帰るのは月曜の昼だろうと言っていた。
はっきり言おう。絶体絶命である。
俺が安っぽいプライドを打ち砕いて放った懇願に我らが部活メンバー達は、
「あっははは!!圭ちゃん災難だねー!!」
最強(凶?)の部長、魅音は容赦なく笑い、
「はうぅ……圭一くん大丈夫なのかな…?かな?」
良識派、レナは心配してくれ(ありがてぇ)、
「まったく……いつまで経っても自立できてませんのねー!」
トラップマスター、沙都子は呆れ(心が痛い…)
「かわいそかわいそなのです、にぱー☆」
マスコットキャラ?梨花ちゃんは慰めているのかどうか怪しいが、頭を撫でてくれてる。
「本当に頼む。この時代この年で餓死は嫌だ……ダメか?」
俺はほとんど涙目だった。自分でもわかる。
「はうぅ〜!涙目の圭一くんかぁいい〜!」
レナ………飯のためなら今だけはお持ち帰りを許す。
「圭ちゃん……食事と引き換えに大切なもの失う気?」
あ、それもそうか。
「じゃあ、部活の罰ゲームは圭一のお家でお泊まり&食事作りなのですよ。」
梨花ちゃんが笑顔で言い放った。
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