ポケモン小説

□素直な気持ちを君へ
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「ターケーシーぃ?」

俺は多分今とってもいい笑顔だ。反対にタケシは汗ダラダラだ。

「さっきの、タケシの話とママの話……ちょっとおかしくないかな……?」

「え、そっそそそおぅかあー!?」

ダテに長年付き合ってない。少しトーンの高い声の時は十中八九誤魔化そうとしてる。後ろでケンジが「タケシ……ご愁傷様」とか言ってる。

「ピカチュウ〜……『かみなり』だ!!!」

俺が笑顔で言い放つ。ピカチュウもノリノリで放電する。


閃光と轟音。


数秒後、『かつてタケシだったモノ』が出来上がる。


が、それよりも。

「カスミが来るなんて……どんな顔して会えばいいんだよこんな時に〜!」

昨夜タケシとあんな会話さえしなければ、多分確実にいつも通りの顔して会えたのに……!


「サトシ、大丈夫さ。」

「ケンジ……」

「サトシの気持ち、カスミはきっと応えてくれるよ。だから、怖がらずに、ね?」

「そ、そうかな……」

「そうよサトシ。カスミちゃんはサトシの良い所も悪い所も、よく知ってるわ。優しい、とてもいい子よ。それに……」

ママが続ける。

「好きな相手には、『好き』っていう気持ちをちゃんと伝えること。これは恋の勝負に勝つ最低条件よ!」

そう言い切ってガッツポーズとウインクをするママ。うう……今更ながらこのモヤモヤ感が恋なのだと思い知らされる。しかも2人の台詞はもはや『ここで告白しろ』って言ってるようなもんだ。恥ずかしいったらありゃしない。初めてセキエイ大会に出場した時よりずっと緊張する。

いつの間にか復活していたタケシも、さっきまでとは違う、かつてまだまだ未熟だった俺を側で見守ってくれていた時の顔でこっちを見ている。


そうだ、皆応援してくれてるんじゃないか……

これに応えてやるのが男だ!何より、俺自身の気持ちにケリをつけたい。


「…ママ、博士、タケシ、ケンジ。わかったよ。俺、カスミに気持ちを伝えるよ。」

「うん!よく言った、サトシ!」

ママが満足げに頷く。

「……でも、やっぱりちょっと怖いかな……それに、皆の前じゃな……」

「大丈夫さサトシ。自分を信じろ!俺達は邪魔しないように退散してるから。」

「頑張れよ、サトシ!」


そう言って皆出ていき、部屋には俺1人が残される。


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