ポケモン小説

□素直な気持ちを君へ
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結局、気が付いたらもう朝だった。日が割と昇っていたので寝ていたということはわかるが、眠れた気は全くしない。……くそっ、タケシめ、今日はこき使ってやる……


「おはようー……」

「あらサトシ、遅いじゃない。タケシ君はもう研究所に行ったわよ?」

「えぇ?もう?……わかった、朝ご飯食べたらすぐ行くよ。」

朝ご飯はママとタケシが作ってくれていて、とても美味かった。一人旅の時に困らないように俺も一応料理は練習したが、あの2人には到底及ばない。……多分カスミには勝ってる……


体が鈍らないよう、研究所までピカチュウと並んで走っていく。まだ9時前で気温も高くなく気持ちいい。

研究所に着いて、タケシ、ケンジと一緒に昨日は出来なかった残りのポケモン達の手入れをしてやる。皆も気持ちよさそうで嬉しかった。

お昼になり、ママの持ってきた差し入れを食べてる時に、タケシがまたしても唐突に切り出す。


「カスミ、もうすぐこっちに着くってさ。」

「んぐ!!?……ゴホッゴホッ!!」

「ピカピ!?ピカチュウ!?」



「な、何で!?」

なんとか詰まったのども治ったところでタケシに聞く。カスミは呼んだ覚えはない。

「いや〜実は夕べカスミに『今サトシの家にいる』って電話した時に『カスミも来ないか』って誘ったら、『久しぶりだし、行こっか』って返ってきたんだよな〜」

悪びれた様子もなく(いや実際どこも悪いことなんてないけど!)タケシはあっけらかんと言い放つ。

「じゃ、じゃあ何で黙ってた!」

「ん〜?別に言うほどのことじゃないしなぁ、誰かさんは言う前に寝ちゃうし、俺が家を出るまで起きなかったし〜?」

そういってやらしい笑いでこちらを見てくる。うう……カンペキにからかわれてる……

「まあまあタケシ、からかいすぎるなって。サトシも、タケシだって悪気があったわけじゃないしさ、許してやりなよ?」

「ケンジ……そりゃそうだけどぉ〜……」

何か腑に落ちない。

「サトシ!いい加減素直になりなさい!」

「へ……?ママ……?」

「もう……あんたがカスミちゃんのことでドギマギしてるからって、タケシ君が一肌脱いでくれたのに……感謝なさい。それにしても……」


その後「サトシもそんな年頃になったか」とか言って盛り上がる博士やママ達に、俺は呆然となった。


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