塚立 すみれ学園

□すみれ学園〜保健委員の憂鬱な日〜
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「はぁ〜」肩を落とし溜め息をつく少女の今にも泣き出しそうな顔とは逆に校舎の窓に広がる空は晴れ渡り、春の心地よい風を運んでいた。
「大丈夫よ!ターチン頑張って」廊下に響く元気な声で友人をはげますのは1年星組の絵馬尾ゆうである。
端正な顔に品さえ備えた美少女だがアッケラカンとした笑顔で髪をおろし、全開にしたおでこが彼女の明るさと気の強い感じを表していた。
「うん…私負けない」と友人の言葉に勇気付けられ『泣いた烏がもう笑った』と拳をかざした少女は1年花組香寿貴姫である。
真面目で努力家の優等生と学園で評判だが友人の前では明るい天然な『乙女っ子』少し肩に架る髪に柔らかさのある眼差しの色白が際立つ彼女は一週間前から憂鬱な思いを抱えていた。
「真琴」どこからかその言葉が貴姫の耳に入る瞬間体をビクッとこわばらせた。
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