塚立 すみれ学園

□その女ガサツにつき!(後編:パーティーナイト)
7ページ/10ページ

「じゃぁしょうがないな、香寿さんは・・・」
苺先生が理解してくれた。
これで自分は劣等感が迫り来る中に送り込まれずにすむのだと安堵したのだが。
「和央と一緒に出席決定だね!」
「「ええ??」」
ウィンクして二人を見た苺に、女子生徒二人は同時に疑問の声を上げた。
「ちょっと、なんでアタシがこの子と?!」
今朝、和央に『あんたが嫌い』と言われた事を思い出した貴姫も、申し訳なさそうに顔を曇らせる。
「ドレスならね、この不良娘が沢山持ってるの。クロゼットの肥やしにしちゃてて、ドレスちゃん達もかわいそ〜だから、あなた着て上げなさい。和央もいいわよね」
「ちょっと!アタシはっ」
「この話に乗ったら、さっきの話でよければもっと詳しく教えてあげるわよ〜♪」
「う”・・・」
グイっと顔を間近に近づけられて、和央は苦虫を噛んだ様な顔をした、そして。
「わ、わかった!だからあの話は・・」
「約束は守るわよ」
ニコニコと笑う苺の迫力と、和央にはどうしても手にしたい交換条件に頷くしかなかった。
その会話を不思議そうに、だがある程度の不信感や詮索を込めて聞いていたのは真琴だった。
しかし、今は何も言わんかった。
この学園では、口は災い、破滅、のもと・・・いや、喪失のもとなのだから。
「あの、先生、私はいいんです、和央さんにも迷惑だし・・・それにっ・・・」
「行くの!ねっ。和央も迷惑じゃないわよね!!」
「・・・あぁ。」
「じゃ、真琴さん、あなたは先にパーティー会場の駐車場ででも待っていて、会場では香寿さんをガッチリエスコート頼みましたわよ!」
「お、おい会場まではどうすんだよ」
「ドレス着てバイクになんか跨がれないの乙女は!私の車で一緒に行くわ」
「はぁ・・・わーったよ!貴姫、また後でな、あんま気にすんなよ」
何を?と言った真琴自身が自問していたが、貴姫は少しうれしそうに「はい」と小さい声で頷いた。
彼女がどうその言葉をとったのか。
分からなくとも、少しでも彼女の顔が明るくなったことが誠には嬉しかった。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ